A6061は、6000系のアルミニウム合金の代表的な材質です。
板材、棒材の他、鍛造材としても使われます。
6000系は、マグネシウムとケイ素を含み、SS400に匹敵する耐力があります。
棒材が多くパイプや異型押出材には、より押し出し性の良いA6063が使われます。
強度と耐食性が良いので、機械部品から大型の構造材まで幅広く使われます。
A6061の強度は?機械的性質まとめ
A6061の機械的性質を下記に示します。
- A6061-T6の機械的性質(目安値)
機械的性質 | 条件 | 値 |
---|---|---|
引張強さ[MPa] | 310 | |
0.2%耐力[MPa] | 275 | |
伸び[%] | 1.6mm厚(50mm) | 12 |
Φ12.5mm(5D) | 15 | |
ブリネル硬さ[HBS10/500] | 95 | |
疲れ強さ[MPa] | 95 |
ここにあるのはあくまで目安値で、JIS H4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)やJIS H4040(アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線)などでは、材料寸法によって機械的性質が規定されています。
A6061の物理的性質
A6061の物理的性質は下表のとおりです。
- A6061の物理的性質
物理的性質 | 条件 | 物性値 |
---|---|---|
密度[g/cm3] | 質別:T6 温度:20℃ |
2.70 |
比重 | 質別:T6 温度:20℃ |
2.70 |
溶融温度範囲[℃] | 全質別 | 582~652 |
導電率[IACS%] | 質別:T6 | 43 |
熱伝導度[kW/(m・℃)] | 25℃ | 0.17 |
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] | (アルミニウムの標準値) | 70 |
横弾性係数[GPa] | (アルミニウムの標準値) | 26 |
ポアソン比 | (アルミニウムの標準値) | 0.33 |
線膨張係数[10-6/℃] | -196~-60℃ | 15.9 |
-60~+20℃ | 21.6 | |
20~100℃ | 23.6 | |
100~200℃ | 24.3 | |
200~300℃ | 25.4 |
A6061の成分
- A6061の化学成分[%]
Si | Fe | Cu | Mn | Mg |
---|---|---|---|---|
0.40~0.80 | 0.70以下 | 0.15~0.40 | 0.15以下 | 0.8~1.2 |
Cr | Zn | V,Bi,Pb,Zr, Niなど |
Ti | その他 | Al | |
---|---|---|---|---|---|---|
個々 | 合計 | |||||
0.04~0.35 | 0.25以下 | - | 0.15以下 | 0.05以下 | 0.15以下 | 残部 |
A6061の耐食性は?用途と使い方
最後にA6061材を機械部品に使用する際の一般的な注意事項を挙げます。
合金 | 質別 | 耐食性 | 耐応力腐食割れ性 | 成形性 | 切削性 | ろう付け性 | 溶接性 | 鍛造性 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ガス | アルゴン | 抵抗 | ||||||||
6061 | T 4 | B | B | B | C | A | A | A | A | D |
6061 | T 6 | B | A | C | C | A | A | A | A | - |
優:A→B→C→D:劣
A6061の出番はいつ
A6061の強度は、ジェラルミン3兄弟(A7075、A2024、A2017)に次ぐレベルです。
Cuを含むジェラルミン系の材料で怖いのは応力腐食割れです。引張応力を掛けた状態で腐食環境に置くと割れてしまいます。
そこで、強度的は欲しいけど、耐食性が悪いのは怖い、っていう場合にA6061使うことが多くなります。
T6処理済みの丸棒は流通しているので、削ってそのまま使う品物に適用できます。
A6061は鍛造性が良いので大量生産にも向き、自動車部品には多く使われています。
これとは逆に、強度アップのためにも使われます。
自動車の構造部品などで、5000系からA6061に切り替えるようなケースもあります。
水素タンクのライナーにもA6061-T6が使われています。水素脆化が比較的起こりにくいそうです。(最近これも樹脂化に向かっているようですが)
A6061の溶接性
A6061は純アルミほどではありませんが溶接も十分可能です。
但し、熱影響部が過時効によって強度低下する問題が有ります。溶接部の強度低下が問題なければ溶接しても大丈夫です。
強度低下がいやなら、溶接後に溶体化処理と時効をやり直せばよいのですが、歪が発生するしコストアップになります。
溶接するけど強度も欲しいという場合は、7000番台のCuを含まないタイプ(7003,7N01など)も検討すると良いでしょう。
アルミニウム合金の種類・特徴と選び方【機械設計者向け】
A1050A A1050 A1060 A1070 A1080 A1085 A1100A(A1N00) A1100 A1200 A1230A(A1N30)
A2011 A2014A A2014 A2017A A2017 A2018 A2024 A2025 A2030 A2117 A2124 A2218 A2219 A2618 A2N01
A3003 A3004 A3005 A3021 A3102 A3103 A3104 A3105 A3203
A4032
A5005 A5021 A5041(5N02) A5042 A5050 A5052 A5056 A5082 A5083 A5086 A5110A(A5N01) A5154 A5182 A5251 A5254 A5454 A5456 A5754
A6005A A6005C(6N01) A6060 A6061 A6063 A6101 A6151 A6181 A6262 A6463
A7003 A7005 A7010 A7020 A7049A A7050 A7075 A7178 A7204(7N01) A7475 A8011A A8021 A8079