A2030とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と使い方

A2030とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と耐食性

ここでは、アルミニウム合金A2030を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A2030の使い方や耐食性、加工性や溶接性などについてもまとめました。

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アルミ合金A2030とは

A2030 熱処理型合金 Al-Cu-Mg系合金

A2030は、鉛の量がA2011よりも多くて切削加工性に優れた快削合金です。

切削加工で生産量の多い機械部品に向きます。

A2030の強度は?機械的性質まとめ

A2030の機械的性質を下記に示します。

【A2030の機械的性質(目安値)】

材質 引張性質
引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び(%)
2030-T4 370 245 8

ここにあるA2030の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA2030の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。

A2030の物理的性質

A2030の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A2030の物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] (アルミニウムの標準値) 2.7
比重 (アルミニウムの標準値) 2.7
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] (アルミニウムの標準値) 70
横弾性係数[GPa] (アルミニウムの標準値) 26
ポアソン比 (アルミニウムの標準値) 0.33

A2030の成分

A2030の成分は下記のとおりです。

鉛を含有しています。

【A2030の化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.8以下 0.7以下 3.3~4.5 0.20~1.0 0.5~1.3
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr,
Niなど
Ti その他 Al
個々 合計
0.10以下 0.50以下 Bi0.20以下、Pb0.8~1.5 0.20以下 0.10以下 0.30以下 残部

A2030の関連規格

A2030は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A2030の規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A2030の使い方ワンポイント

A2030の特徴は下記のとおりです。

A2030の使い方

A2030はCuを含む2000番台のアルミ合金なので、熱処理によって高い強度が得られます。

一方で、耐食性、特に応力腐食割れ性が悪いので、適用には注意が必要です。

鉛の含有量が快削合金として流通量の多いA2011の0.2~0.6%よりも更に多い、0.8~1.5%となってますので、切削性はとても良い材質です。

但し、RoHS規制は満足しませんので、適用可否の確認が必要です。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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