A2011とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と代替材

ここでは、アルミニウム合金A2011を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A2011の使い方や耐食性、加工性や溶接性などについてもまとめました。

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A2011とは

A2011熱処理型合金Al-Cu-Mg系合金

A2011は強度の高い2000番台の中で、特に切削加工性を重視した快削性合金です。

生産性を重視する数量の多い機械部品などに向いています。

強度はジェラルミンA2017と同等で、耐食性には劣ります。

切削性を良くするために鉛を含有しますので環境面では注意が必要です。

A2011の強度は?機械的性質まとめ

A2011の機械的性質を下記に示します。

【A2011の機械的性質(目安値)】

材質引張性質ブリネル硬さ
(HBS 10/500)
せん断強さ
(N/mm2
疲れ強さ
(N/mm2
引張強さ
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び(%)
1.6mm厚
(50mm)
12.5mm径
(5D)
2011-T33802951395220125
2011-T840531010100240125

ここにあるA2011の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA2011の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。

A2011の物理的性質

A2011の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。
【A2011の物理的性質)】

物理的性質条件物性値
密度[g/cm3] 温度:20℃質別:T3
質別:T8
2.82
質別:T3
質別:T8
2.82
溶融温度範囲[℃]質別:T3
質別:T8
541~638
導電率[IACS%]質別:T3
質別:T8
39
45
熱伝導度[kW/(m・℃)] 温度:25℃質別:T3
質別:T8
0.15
0.17
縦弾性係数(ヤング率)[GPa](アルミニウムの標準値)70
横弾性係数[GPa](アルミニウムの標準値)26
ポアソン比(アルミニウムの標準値)0.33
線膨張係数[10-6/℃]-196~-60℃15.7
-60~+20℃21.2
20~100℃22.9
100~200℃
200~300℃

A2011の成分

A2011の成分は下記のとおりです。

【A2011の化学成分(%)]

SiFeCuMnMg
0.40以下0.7以下5.0~6.0
CrZnV,Bi,Pb,Zr,
Niなど
Tiその他Al
個々合計
0.30以下Bi0.20~0.6、Pb0.20~0.60.05以下0.15以下残部

A2011の関連規格

A2011は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号規格名称A2011の規定有無
JIS H4000アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A2011の使い方ワンポイント

A2011の特徴は下記のとおりです。

合金質別耐食性耐応力腐食割れ性成形性切削性ろう付け性溶接性鍛造性
ガスアルゴン抵抗
2011T 3DCCADDDD
2011T 8DADADDDD

優:A→B→C→D:劣(切削性のみ:優:A→B→C→D→E:劣)

A2011は鉛含有

A2011は快削合金で、切削性を良くするために鉛を0.2~0.6%含有します。

この量は、RoHS規制値(0.1wt%以下)以上であり、適用除外6(b)の値(0.4wt%以下)も満足しません。

環境負荷物質についての要求に対応できない場合がありますので注意が必要です。

新設計のものでしたら他の材料を選んだほうが良いでしょう。

非鉛快削アルミ合金

非鉛快削アルミ合金としては、鉛の代わりに錫(Sn)を添加したものです。

  • CB156(UACJ)
  • G23(昭和電工)

などが開発されていますので、こちらも検討すると良いです。

この記事を書いた人
DD

機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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