ここでは、アルミニウム合金A2014を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。
また、比重やヤング率などの物理的性質や、A2014の使い方や耐食性、加工性や溶接性などについてもまとめました。
アルミ合金A2014とは
A2014 | 熱処理型合金 | Al-Cu-Mg系合金 |
A2014の強度はA2017より少し強く、A2024より少し劣ります。
高強度鍛造材として使用される他、A6003と張り合わせて耐食性を改善した材料も使われます。
A2014の強度は?機械的性質まとめ
A2014の機械的性質を下記に示します。
【A2014の機械的性質(目安値)】
材質 | 引張性質 | ブリネル硬さ (HBS 10/500) |
せん断強さ (N/mm2) |
疲れ強さ (N/mm2) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|
引張強さ (N/mm2) |
耐力 (N/mm2) |
伸び(%) | |||||
1.6mm厚 (50mm) |
12.5mm径 (5D) |
||||||
2014-O | 185 | 95 | — | 16 | 45 | 125 | 90 |
2014-T4,T451 | 425 | 290 | — | 18 | 105 | 260 | 140 |
2014-T6,T651 | 485 | 415 | — | 11 | 135 | 290 | 125 |
ここにあるA2014の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。
規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA2014の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。
A2014の物理的性質
A2014の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。
【A2014の物理的性質)】
物理的性質 | 条件 | 物性値 |
---|---|---|
密度[g/cm3] 温度:20℃ | 質別:O 質別:T4 質別:T6 |
2.8 |
比重 温度:20℃ | 質別:O 質別:T4 質別:T6 |
2.8 |
溶融温度範囲[℃] | 質別:O 質別:T4 質別:T6 |
507~638 |
導電率[IACS%] | 質別:O 質別:T4 質別:T6 |
50 34 40 |
熱伝導度[kW/(m・℃)] 温度:25℃ | 質別:O 質別:T4 質別:T6 |
0.19 0.13 0.15 |
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] | - | 72.4 |
横弾性係数[GPa] | - | 28 |
ポアソン比 | - | 0.3 |
線膨張係数[10-6/℃] | -196~-60℃ | 15.3 |
-60~+20℃ | 21.4 | |
20~100℃ | 23 | |
100~200℃ | 23.6 | |
200~300℃ | 24.5 |
A2014の成分
A2014の成分は下記のとおりです。
【A2014の化学成分(%)]
Si | Fe | Cu | Mn | Mg |
---|---|---|---|---|
0.50~1.2 | 0.7以下 | 3.9~5.0 | 0.40~1.2 | 0.20~0.8 |
Cr | Zn | V,Bi,Pb,Zr, Niなど |
Ti | その他 | Al | |
---|---|---|---|---|---|---|
個々 | 合計 | |||||
0.10以下 | 0.25以下 | - | 0.15以下 | 0.05以下 | 0.15以下 | 残部 |
A2014の関連規格
A2014は下記のJIS規格で規定されています。
規格番号 | 規格名称 | A2014の規定有無 |
---|---|---|
JIS H4000 | アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 | ○ |
JIS H4040 | アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 | ○ |
JIS H4080 | アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管 | ○ |
JIS H4100 | アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材 | ○ |
JIS H4140 | アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品 | ○ |
A2014の使い方ワンポイント
A2014の特徴は下記のとおりです。
合金 | 質別 | 耐食性 | 耐応力腐食割れ性 | 成形性 | 切削性 | ろう付け性 | 溶接性 | 鍛造性 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ガス | アルゴン | 抵抗 | ||||||||
2014 | T 4 | D | C | C | B | D | D | B | B | C |
2014 | T 6 | D | C | D | B | D | D | B | B | C |
優:A→B→C→D:劣(切削性のみ:優:A→B→C→D→E:劣)
A2014の使い方
A2014は鍛造性が良く、熱間鍛造にて強度の必要な自動車部品などに多用されています。
耐食性、応力腐食割れ性は悪いので、エンジン内部の部品などへの使用が多くなります。
耐食性が必要な用途の場合、A2014では塗装するなど防食対策が必要でコストアップ要因になります。
このような場合、強度は落ちますが耐食性の良い鍛造素材としては、A6061などの適用も検討します。
【関連材料】
アルミニウム合金の種類・特徴と選び方【機械設計者向け】
A1050A A1050 A1060 A1070 A1080 A1085 A1100A(A1N00) A1100 A1200 A1230A(A1N30)
A2011 A2014A A2014 A2017A A2017 A2018 A2024 A2025 A2030 A2117 A2124 A2218 A2219 A2618 A2N01
A3003 A3004 A3005 A3021 A3102 A3103 A3104 A3105 A3203
A4032
A5005 A5021 A5041(5N02) A5042 A5050 A5052 A5056 A5082 A5083 A5086 A5110A(A5N01) A5154 A5182 A5251 A5254 A5454 A5456 A5754
A6005A A6005C(6N01) A6060 A6061 A6063 A6101 A6151 A6181 A6262 A6463
A7003 A7005 A7010 A7020 A7049A A7050 A7075 A7178 A7204(7N01) A7475 A8011A A8021 A8079
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A1050A A1050 A1060 A1070 A1080 A1085 A1100A(A1N00) A1100 A1200 A1230A(A1N30)
A2011 A2014A A2014 A2017A A2017 A2018 A2024 A2025 A2030 A2117 A2124 A2218 A2219 A2618 A2N01
A3003 A3004 A3005 A3021 A3102 A3103 A3104 A3105 A3203
A4032
A5005 A5021 A5041(5N02) A5042 A5050 A5052 A5056 A5082 A5083 A5086 A5110A(A5N01) A5154 A5182 A5251 A5254 A5454 A5456 A5754
A6005A A6005C(6N01) A6060 A6061 A6063 A6101 A6151 A6181 A6262 A6463
A7003 A7005 A7010 A7020 A7049A A7050 A7075 A7178 A7204(7N01) A7475 A8011A A8021 A8079