A8011Aとは?【強度・比重・ヤング率】機械的性質と使い方

ここでは、アルミニウム合金A8011Aを使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A8011Aの使い方などについてもまとめました。

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A8011Aとは

A8011Aは、SiとFeを含む純アルミに近い合金です。

アルミ箔、食品包装、アルミ缶のフタの材料などに使用されます。

A8011Aの強度は?機械的性質まとめ

A8011Aの機械的性質を下記に示します。

板・条・厚板・円板の機械的性質

【A8011Aの機械的性質(規格値)】

材質 厚さ(mm) 引張試験
引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び(%)
A50mm
A8011AP-H14 0.2以上 0.5以下 120以上
170以下
110以上 1以上
0.5超 1.5以下 125以上
165以下
3以上
1.5超 3.0以下 3以上
3.0超 6.0以下 4以上
6.0超え 12.5以下 5以上
A8011AP-H24 0.2以上 0.5以下 125以上
165以下
100以上 3以上
0.5超 1.5以下 4以上
1.5超 3.0以下 5以上
3.0超 6.0以下 6以上
6.0超え 12.5以下 7以上
A8011AP-H16 0.2以上 0.5以下 140以上
190以下
130以上 1以上
0.5超 1.5以下 145以上
185以下
2以上
1.5超 4.0以下 3以上
A8011AP-H26 0.2以上 0.5以下 145以上
185以下
120以上 2以上
0.5超 1.5以下 3以上
1.5超 4.0以下 4以上
A8011AP-H18 0.2以上 0.5以下 160以上 145以上 1以上
0.5超 1.5以下 165以上 2以上
1.5超 3.0以下 2以上

上記の値は、JIS H4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)で規定されている機械的性質です。

材料のサイズ、質別により大きく変化するため、上記の範囲外の場合は個別の規定が必要です。

A8011Aの物理的性質

A8011Aの物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A8011Aの物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] (アルミニウムの標準値) 2.7
比重 (アルミニウムの標準値) 2.7
溶融温度範囲[℃]
導電率[IACS%]
熱伝導度[kW/(m・℃)]
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] (アルミニウムの標準値) 70
横弾性係数[GPa] (アルミニウムの標準値) 26
ポアソン比 (アルミニウムの標準値) 0.33
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃
-60~+20℃
20~100℃
100~200℃
200~300℃

A8011Aの成分

A8011Aの成分は下記のとおりです。

【A8011Aの化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.40~0.8 0.50~1.0 0.10以下 0.10以下 0.10以下
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr, Niなど Ti その他 Al
個々 合計
0.10以下 0.10以下 0.05以下 0.05以下 0.15以下 残部

A8011Aの関連規格

A8011Aは下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A8011Aの規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A8011Aの使い方ワンポイント

A8011Aの特徴は下記のとおりです。

A8011Aの使い方

8000番台のアルミ合金は、1000~7000番台に属さない合金です。

A8081Aについては、99%以上の純度の純アルミに近い組成で、SiとFeが添加されています。

特性としては、純アルミに近く、伸展性が良いため、箔や、精度の高い薄板が作れ、プレス加工性にも優れています。

純アルミ系で加工性や品質に問題がある場合に採用を検討すると良いでしょう。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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