A3004とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と耐食性

ここでは、A3004を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質、熱処理と物理的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A3004を使う上で、使い方や加工性や溶接性などについての注意事項などについてもまとめました。

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A3004とは

A3004 非熱処理型合金 Al-Mn系合金

A3004は、A3003よりも強度が高く、成形性や耐食性にも優れたアルミ合金です。

飲料缶、屋根板、ドアパネル材などに向いています。

A3004の強度は?機械的性質まとめ

A3004の機械的性質を下記に示します。

【A3004の機械的性質(目安値)】

材質 引張性質 ブリネル硬さ
(HBS 10/500)
せん断強さ
(N/mm2
疲れ強さ
(N/mm2
引張強さ
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び(%)
1.6mm厚
(50mm)
12.5mm径
(5D)
3004-O 180 70 20 22 45 110 95
3004-H32 215 170 10 15 52 115 105
3004-H34 240 200 9 10 63 125 105
3004-H36 260 230 5 8 70 140 110
3004-H38 285 250 5 5 77 145 110

ここにあるA3004の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA3004の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。

A3004の物理的性質

A3004の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A3004の物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] 温度:20℃ 2.72
比重 温度:20℃ 2.72
溶融温度範囲[℃] 629~654
導電率[IACS%] 全質別平均 42
熱伝導度[kW/(m・℃)] 25℃ 全質別平均 0.16
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] 全質別 70
横弾性係数[GPa] 全質別 25
ポアソン比 全質別 0.3
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃ 15.8
-60~+20℃ 21.4
20~100℃ 23.9
100~200℃ 24.8
200~300℃ 25.9

A3004の成分

A3004の成分は下記のとおりです。

【A3004の化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.30以下 0.7以下 0.25以下 1.0~1.5 0.8~1.3
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr,
Niなど
Ti その他 Al
個々 合計
0.25以下 0.05以下 0.15以下 残部

A3004の関連規格

A3004は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A3004の規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A3004の使い方ワンポイント

A3004の特徴は下記のとおりです。

合金 質別 耐食性 耐応力腐食割れ性 成形性 切削性 ろう付け性 溶接性 鍛造性
ガス アルゴン 抵抗
3004 O A A A D B B A B
3004 H32 A A B D B B A A
3004 H34 A A B C B B A A
3004 H36 A A C C B B A A
3004 H38 A A C C B B A A

優:A→B→C→D:劣(切削性のみ:優:A→B→C→D→E:劣)

A3004の使い方

A3004は、耐食性が純アルミと同レベルに良く、O材であれば成形性にも優れています。

A3003より強度が必要な用途に適しています。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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