A5086とは?【強度・比重・ヤング率】機械的性質と使い方

ここでは、アルミニウム合金A5086を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A5086の使い方や耐食性、加工性や溶接性などについてもまとめました。

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A5086とは

A5086 非熱処理型合金 Al-Mg系合金

A5086は、A5154より強度が高く、耐食性、耐海水性の優れた溶接構造用合金です。

船舶、圧力容器、磁気ディスクなどに使用されます。

A5086の強度は?機械的性質まとめ

A5086の機械的性質を下記に示します。

板・条・厚板・円板の機械的性質

【A5086Pの機械的性質(規格値)】

材質 厚さ(mm) 引張試験
引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び(%)
A50mm
A5086P-H112 4.0以上 6.5以下 255以上 125以上 7以上
6.5超 13.0以下 245以上 125以上 8以上
13.0超 25.0以下 245以上 110以上 10以上
25.0超 50.0以下 245以上 100以上 14以上
50.0超え 75.0以下 235以上 100以上 14以上
A5086P-O 0.5以上 1.3以下 245以上
305以下
100以上 15以上
1.3超え 6.5以下 18以上
6.5超え 50.0以下 16以上
A5086P-H116,H321 1.5以上 3.0以下 275以上 195以上 8以上
3.0超え 6.0以下 9以上
6.0超え 12.5以下 10以上
12.5超え 50.0以下 A:9以上
A5086P-H22,H32 0.5以上 1.3以下 275以上
325以下
195以上 6以上
1.3超え 6.5以下 8以上
6.5超え 12.0以下 12以上
A5086P-H24,H34 0.5以上 0.8以下 305以上
355以下
235以上 4以上
0.8超え 1.3以下 5以上
1.3超え 6.5以下 6以上
6.5超え 12.0以下 10以上
A5086P-H26,H36 0.5以上 0.8以下 325以上
375以下
265以上 3以上
0.8超え 1.3以下 4以上
1.3超え 4.0以下 6以上
A5086P-H18,H38 0.15以上 1.3以下 345以上 285以上 3以上
6.0超え 12.5以下

上記の値は、JIS H4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)で規定されている機械的性質です。

材料のサイズ、質別により大きく変化するため、上記の範囲外の場合は個別の規定が必要です。

押出棒の機械的性質

【A5086の機械的性質(規格値)】

材質 径、厚さ又は対辺距離(mm) 引張試験(板厚0.2超え0.5以下)
引張強さ(N/mm2 耐力(N/mm2 伸び(%)
A50mm
5086-0 200以下 240以上
320以下
95以上 15以上
5086-H112 250以下 240以上 95以上 10以上

伸展材の標準的機械的性質

【A5086の機械的性質(目安値)】

材質 引張性質 ブリネル硬さ
(HBS 10/500)
せん断強さ
(N/mm2
疲れ強さ
(N/mm2
引張強さ
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び(%)
1.6mm厚
(50mm)
12.5mm径
(5D)
5086-O 260 115 22 165
5086-H32,H116 290 205 12
5086-H34 325 255 10 185
5086-H112 270 130 14

ここにあるA5086の機械的性質はあくまで目安値となります。

実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

A5086の物理的性質

A5086の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A5086の物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] 温度:20℃ 2.66
比重 温度:20℃ 2.66
溶融温度範囲[℃] 585~640
導電率[IACS%] 質別:O 31
熱伝導度[kW/(m・℃)] 質別:O 25℃ 0.13
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] (アルミニウムの標準値) 70
横弾性係数[GPa] (アルミニウムの標準値) 26
ポアソン比 (アルミニウムの標準値) 0.33
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃
-60~+20℃
20~100℃
100~200℃
200~300℃

A5086の成分

A5086の成分は下記のとおりです。

【A5086の化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.40以下 0.50以下 0.10以下 0.20~0.7 3.5~4.5
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr, Niなど Ti その他 Al
個々 合計
0.05~0.25 0.25以下 0.15以下 0.05以下 0.15以下 残部

A5086の関連規格

A5086は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A5088の規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A5086の使い方ワンポイント

A5086の特徴は下記のとおりです。

合金 質別 耐食性 耐応力腐食割れ性 成形性 切削性 ろう付け性 溶接性 鍛造性
ガス アルゴン 抵抗
5086 O A A A D B B A B
5086 H32 A A B D B B A A
5086 H34 A B B C B B A A
5086 H36 A B C C B B A A
5086 H38 A B C C B B A A

優:A→B→C→D:劣(切削性のみ:優:A→B→C→D→E:劣)

A5086の使い方

A5086はMg含有量が多いのでO材でも強度がかなり有ります。

溶接性も良いので、溶接構造物に用いることができます。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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