A2017とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と耐食性

A2017とは、ジュラルミンとも呼ばれるアルミニウム合金です。

銅やマグネシウムを合金成分として含み、鋼材に匹敵する強度があります。

銅を含むため耐食性に劣るので、防食について配慮が必要です。純アルミをあわせたクラッド材も使用されます。

溶接性は良くないので、リベットやボルトなどでの組み立てに適しています。

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A2017の強度は?機械的性質まとめ

A2017の機械的性質を下記に示します。

A2017で強度を得るには、熱処理が必要です。熱処理は、T4(溶体化処理→自然時効)や、T451(溶体化処理→残留応力を除去するため引張加工→自然時効)が用いられます。

  • A2017-T4、-T451の機械的性質(目安値)
機械的性質 条件
引張強さ[MPa] 425
0.2%耐力[MPa] 275
伸び[%] 1.6mm厚(50mm)
Φ12.5mm(5D) 10
ブリネル硬さ[HBS10/500] 120
疲れ強さ[MPa] 115

ここにあるのはあくまで目安値で、JIS H4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)やJIS H4040(アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線)などでは、材料寸法によって機械的性質が規定されています。

A2017の物理的性質

A2017の物理的性質は下表のとおりです。

  • A2017の物理的性質
物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] 質別:T4
温度:20℃
2.79
比重 質別:T4
温度:20℃
2.79
溶融温度範囲[℃] 質別:T4 513~640
導電率[IACS%] 質別:T4 34
熱伝導度[kW/(m・℃)] 25℃ 0.13
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] (アルミニウムの標準値) 70
横弾性係数[GPa] (アルミニウムの標準値) 26
ポアソン比 (アルミニウムの標準値) 0.33
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃ 15.6
-60~+20℃ 21.6
20~100℃ 23.6
100~200℃ 23.9
200~300℃ 25.0

A2017の成分

  • A2017の化学成分[%]
Si Fe Cu Mn Mg
0.2~0.8 0.70以下 3.5~4.5 0.4~1.0 0.4~0.8
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr,Niなど Ti その他 Al
個々 合計
0.1以下 0.1以下 0.15以下 0.05以下 0.15以下 残部

A2017の耐食性は?用途と使い方

最後にA2017材を機械部品に使用する際の一般的な注意事項を挙げます。

合金 質別 耐食性 耐応力腐食割れ性 成形性 切削性 ろう付け性 溶接性 鍛造性
ガス アルゴン 抵抗
2017 T 4 D C C B D D B B

優:A→B→C→D:劣

A2017の耐食性

A2017を腐食環境下で使用する場合、応力腐食割れについての注意が必要です。

応力腐食割れは、引張応力を受けた状態で腐食環境に置かれた場合に発生します。

高強度アルミ材の使い分け

  • A2017:ジュラルミン
  • A2024:超ジュラルミン
  • A7075:超々ジュラルミン

と呼ばれるとおり、強度は、A7075>A2024>A2017

となります。

A2017の溶接性はよくありませんが不可能ではありません。A7075は溶接は困難です。

A2017は、内部応力が高いので比較的寸法精度を出しにくいですが、A7075の方がこの点優れています。

あとは価格で選ぶことになります。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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