A1060とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と使い方

ここでは、A1060を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質、熱処理と物理的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A1060を使う上で、使い方や加工性や溶接性などについての注意事項などについてもまとめました。

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A1060とは

A1060 非熱処理型合金 純アルミニウム

A1060は、純度が99.6%の純アルミです。

電気伝導性が高いため、導体に用いられます。ブスバー(導体棒)などに使用されます。

A1060の強度は?機械的性質まとめ

A1060の機械的性質を下記に示します。

【A1060の機械的性質(目安値)】

材質 引張性質 ブリネル硬さ
(HBS 10/500)
せん断強さ
(N/mm2
疲れ強さ
(N/mm2
引張強さ
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び(%)
1.6mm厚
(50mm)
12.5mm径
(5D)
1060-O 70 30 43 19 50 20
1060-H12 85 75 16 23 55 30
1060-H14 100 90 12 26 60 35
1060-H16 115 105 8 30 70 45
1060-H18 130 125 6 35 75 45

ここにあるA1060の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA1060の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。

A1060の物理的性質

A1060の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。
【A1060の物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] 温度:20℃ 2.70
比重 温度:20℃ 2.70
溶融温度範囲[℃] 646~657
導電率[IACS%] 質別:O
質別:H18
62
61
熱伝導度[kW/(m・℃)] 25℃ 質別:O
質別:H18
0.23
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] (アルミニウムの標準値) 70
横弾性係数[GPa] (アルミニウムの標準値) 26
ポアソン比 (アルミニウムの標準値) 0.33
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃
-60~+20℃
20~100℃
100~200℃
200~300℃

A1060の成分

A1060の成分は下記のとおりです。

【A1060の化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.25以下 0.35以下 0.05以下 0.03以下 0.03以下
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr,
Niなど
Ti その他 Al
個々 合計
0.05以下 V0.05以下 0.03以下 0.03以下 99.60以上

A1060の関連規格

A1060は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A1060の規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A1060の使い方ワンポイント

A1060の特徴は下記のとおりです。

A1060の使い方

A1060は純アルミ材なので強度は低いものの、耐食性や成形性に優れています。

上表にある質別H18は、加工硬化させただけの硬質材です。質別によって、強度や硬さが変わりますので、適切なものを選びます。

溶接も問題なく行えます。

アルミニウムの高温強度

アルミニウムは高温になると急激に強度が低下します。

純アルミの場合、150℃で2割減、250℃で半減といったイメージです。
強度計算などの場合、鉄鋼では無視できても、アルミ合金では考慮する必要がでてきます。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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