A3003とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と使い方

ここでは、A3003を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質、熱処理と物理的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A3003を使う上で、使い方や加工性や溶接性などについての注意事項などについてもまとめました。

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A3003とは

A3003 非熱処理型合金 Al-Mn系合金

A3003はA1100などの純アルミ系に近い特性を持っています。冷間加工性、溶接性、耐食性に優れ、かつ若干強度が高くなっています。

容器や熱交換器、船舶用、建築用などに適します。

A3003の強度は?機械的性質まとめ

A3003の機械的性質を下記に示します。

【A3003の機械的性質(目安値)】

材質 引張性質 ブリネル硬さ
(HBS 10/500)
せん断強さ
(N/mm2
疲れ強さ
(N/mm2
引張強さ
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び(%)
1.6mm厚
(50mm)
12.5mm径
(5D)
3003-O 110 40 30 37 28 75 50
3003-H12 130 125 10 18 35 85 55
3003-H14 150 145 8 14 40 95 60
3003-H16 175 170 5 12 47 105 70
3003-H18 200 185 4 9 55 110 70

ここにあるA3003の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA3003の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。

A3003の物理的性質

A3003の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A3003の物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] 温度:20℃ 2.73
比重 温度:20℃ 2.73
溶融温度範囲[℃] 643~654
導電率[IACS%] 質別:O
質別:H18
50
40
熱伝導度[kW/(m・℃)]25℃ 質別:O
質別:H18
0.19
0.15
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] 質別:O
質別:H18
70
横弾性係数[GPa] 質別:O
質別:H18
25
ポアソン比 質別:O
質別:H18
0.3
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃ 15.8
-60~+20℃ 21.4
20~100℃ 23.2
100~200℃ 24.1
200~300℃ 25

A3003の成分

A3003の成分は下記のとおりです。
【A3003の化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.6以下 0.7以下 0.05~0.20 1.0~1.5
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr,
Niなど
Ti その他 Al
個々 合計
0.10以下 0.05以下 0.15以下 残部

A3003の関連規格

A3003は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A3003の規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A3003の使い方ワンポイント

A3003の特徴は下記のとおりです。

合金 質別 耐食性 耐応力腐食割れ性 成形性 切削性 ろう付け性 溶接性 鍛造性
ガス アルゴン 抵抗
3003 O A A A E A A A B A
3003 H24 A A B D A A A A A
3003 H18 A A C D A A A A A

優:A→B→C→D:劣(切削性のみ:優:A→B→C→D→E:劣)

A3003の使い方

A3003は、A1050などの純アルミで強度が不足するときに使います。

純アルミにMnを添加したタイプで、加工性、耐食性、溶接性を犠牲にすることなく、強度が改善されています。

更に強度が必要な場合は、A5052などのAl-Mg系合金も検討すると良いでしょう。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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