A2117とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と使い方

ここでは、アルミニウム合金A2117を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A2117の使い方や耐食性、加工性や溶接性などについてもまとめました。

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アルミ合金A2117とは

A2117 熱処理型合金 Al-Cu-Mg系合金

A2117は加締めを行うリベット用に向く材質です。

CuやMgが少ないので2000番台としては耐食性に優れ、応力腐食割れの恐れが比較的少ない合金です。

A2117の強度は?機械的性質まとめ

A2117の機械的性質を下記に示します。

【A2117の機械的性質(目安値)】

材質 引張性質 ブリネル硬さ
(HBS 10/500)
せん断強さ
(N/mm2
疲れ強さ
(N/mm2
引張強さ
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び(%)
1.6mm厚
(50mm)
12.5mm径
(5D)
2117-T4 295 165 24 70 195 95

ここにあるA2117の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA2117の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。

A2117の物理的性質

A2117の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A2117の物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] 温度:20℃ 2.74
比重 温度:20℃ 2.74
溶融温度範囲[℃] 510~649
導電率[IACS%] 質別:T4 40
熱伝導度[kW/(m・℃)] 25℃ 質別:T4 0.15
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] (アルミニウムの標準値) 70
横弾性係数[GPa] (アルミニウムの標準値) 26
ポアソン比 (アルミニウムの標準値) 0.33
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃ 15.9
-60~+20℃ 21.8
20~100℃ 23.8
100~200℃
200~300℃

A2117の成分

A2117の成分は下記のとおりです。

銅やマグネシウムの量が少なめになっています。

【A2117の化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.8以下 0.7以下 2.2~3.0 0.10以下 0.20~0.50
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr,
Niなど
Ti その他 Al
個々 合計
0.25以下 c) 0.05以下 0.15以下 残部

A2117の関連規格

A2117は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A2117の規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A2117の使い方ワンポイント

A2117の特徴は下記のとおりです。

リベットの温度管理

A2117はCuの量を減らすことで、時効硬化の速度を遅くしています。

溶体化処理後に時効が遅れることを遅効現象と呼びます。温度と硬化の始まる時間の目安は下記のようになります。

保管温度 時効の進み方
室温 徐々に進行する
0℃ 10時間後からゆっくり進行
-20℃ 1週間後でもほとんど進行しない

リベット打ち作業を容易にするには柔らかい状態の方が良いので、適切な温度管理が必要です。

この記事を書いた人
DD
DD

機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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