A1050とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と耐食性

A1050は、工業用純アルミニウムである1000番台で、多く使われている材料です。

強度が低いので機械部品などの構造材としては向きませんが、加工性、耐食性、溶接性が優れているので、日用品や家庭用品、電気器具などに使用されています。

1050、1070、1085はそれぞれ、アルミニウム純度99.50%、99.70%、99.85%以上であることを表しています。

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A1050の強度は?機械的性質まとめ

A1050の機械的性質を下記に示します。

  • A1050-H24の機械的性質(目安値)
機械的性質条件
引張強さ[MPa]95以上
0.2%耐力[MPa]t=0.8~12mm75以上
伸び[%]t=1.3~2.9mm5以上
t=2.9~12mm6以上
ブリネル硬さ[HBS10/500]32
疲れ強さ[MPa]34

(JIS H4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)による)

A1050の物理的性質

A1050の物理的性質は下表のとおりです。

  • A1050の物理的性質
物理的性質条件物性値
密度[g/cm3](アルミニウムの標準値)
温度:20℃
2.7
比重(アルミニウムの標準値)
温度:20℃
2.7
縦弾性係数(ヤング率)[GPa](アルミニウムの標準値)70
横弾性係数[GPa](アルミニウムの標準値)26
ポアソン比(アルミニウムの標準値)0.33
線膨張係数[10-6/℃]-196~-60℃24

A1050の関連規格

A1050は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号規格名称概要
JISH4000アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条板及び上についての化学成分、機械的性質、寸法許容差など
JISH4040アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線棒及び線についての化学成分、機械的性質、寸法許容差など
JISH4080アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管継目無管についての化学成分、機械的性質、寸法許容差など
JISH4090アルミニウム及びアルミニウム合金溶接管溶接管についての化学成分、機械的性質、寸法許容差など
JISH4100アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材押出形材についての化学成分、機械的性質、寸法許容差など

A1050の成分

  • A1050の化学成分[%]
SiFeCuMnMg
0.25以下0.40以下0.05以下0.05以下0.05以下
CrZnV,Bi,Pb,Zr,
Niなど
Tiその他Al
個々合計
0.05以下V:0.05以下0.03以下0.03以下99.5%以上

A1050の耐食性は?用途と使い方

最後にA1050材を機械部品に使用する際の一般的な注意事項を挙げます。

合金質別耐食性耐応力腐食割れ性成形性切削性ろう付け性溶接性鍛造性
ガスアルゴン抵抗
1050H24AAADAAAA

優:A↔B↔C↔D:劣

A1050は軟質で容易に加工ができますが、切削加工では柔らかすぎて削りにくくなります。

アルマイト処理での仕上がりが良く、装飾用途にも適しています。

A1050の耐食性

A1050は、純アルミであり、耐食性を悪化させる銅、鉄などの元素がほとんど含まれていないため、耐食性は優れています。

A1050の溶接

A1050は銅を含まないため、溶接性は良好です。

但し、表面の酸化皮膜を可能な限り除去し、TIG溶接やMIG溶接などで、アルミに適したアークの条件で行わなければなりません。

この記事を書いた人
DD

機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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