A5456とは?【強度・比重・ヤング率】機械的性質と使い方

ここでは、アルミニウム合金A5456を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A5456の使い方や耐食性などについてもまとめました。

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A5456とは

A5456非熱処理型合金Al-Mg系合金

A5456は、高強度の溶接構造用材料で、圧力容器や船舶用材料などに使用されます。

A5456の強度は?機械的性質まとめ

A5456の機械的性質を下記に示します。

板・条・厚板・円板の機械的性質

【A5456の機械的性質(規格値)】

材質厚さ(mm)引張試験
引張強さ(N/mm2耐力(N/mm2伸び(%)
A50mmA
A5456P-H1126.3超 12.5以下290以上130以上12以上
12.5超 40.0以下290以上130以上10以上
40.0超 80.0以下285以上125以上10以上
A5456P-O1.2以上 6.3以下290以上
365以下
130以上
205以下
16以上
6.3超 80.0以下285以上
360以下
125以上
205以下
16以上14以上
80.0超 120.0以下275以上120以上12以上
120.0超 160.0以下270以上115以上12以上
160.0超 200.0以下265以上105以上10以上
A5456P-H324.0以上 12.5以下315以上
405以下
230以上12以上
12.5超 40.0以下305以上
385以下
215以上10以上
40.0超 80.0以下285以上
370以下
200以上10以上
A5456P-H3212.5超 4.0以下330以上
405以下
235以上10以上
4.0以上 12.5以下315以上
405以下
230以上12以上
12.5超 40.0以下305以上
385以下
215以上10以上
40.0超 80.0以下285以上
370以下
200以上10以上

上記の値は、JIS H4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)で規定されている機械的性質です。

材料のサイズ、質別により大きく変化するため、上記の範囲外の場合は個別の規定が必要です。

A5456の物理的性質

A5456の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A5456の物理的性質)】

物理的性質条件物性値
密度[g/cm3](アルミニウムの標準値)2.7
比重(アルミニウムの標準値)2.7
溶融温度範囲[℃]
導電率[IACS%]
熱伝導度[kW/(m・℃)]
縦弾性係数(ヤング率)[GPa](アルミニウムの標準値)70
横弾性係数[GPa](アルミニウムの標準値)26
ポアソン比(アルミニウムの標準値)0.33
線膨張係数[10-6/℃]-196~-60℃
-60~+20℃
20~100℃
100~200℃
200~300℃

A5456の成分

A5456の成分は下記のとおりです。

【A5456の化学成分(%)]

SiFeCuMnMg
0.25以下0.40以下0.10以下0.50~1.04.7~5.5
CrZnV,Bi,Pb,Zr, NiなどTiその他Al
個々合計
0.05~0.200.25以下0.20以下0.05以下0.15以下残部

A5456の関連規格

A5456は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号規格名称A5456の規定有無
JIS H4000アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A5456の使い方ワンポイント

A5456の特徴は下記のとおりです。 ー 優:A→B→C→D:劣(切削性のみ:優:A→B→C→D→E:劣)

A5456の使い方

5000番台の合金は耐食性は高いですが、Mgの量を増やして高強度にした合金では、特に溶接熱影響部にて、応力腐食割れや粒界腐食の可能性がでてきます。

A5456は、耐食性が必要な用途に適用すると質別によっては良い特性が得られることがあります。

この記事を書いた人
DD

機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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