ジュラルミンの用途や特徴と欠点とは?強度や成分もまとめ

ここでは、ジュラルミンの用途や特徴などについてと、様々な疑問について、Q&A形式でまとめました。

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ジュラルミンとは

ジュラルミンは軽くて強度のあるアルミ合金です。

ジュラルミンの用途は?

ジュラルミンは航空機用に開発されたので、航空・宇宙分野で多用されています。

その他、ジュラルミンケースとしても有名です。

自動車では海水や融雪剤の塩素で応力腐食割れを起こすので特にシャーシまわりの使用は推奨されてません。

その他、軽くて高強度の特徴を活かせる、スポーツ用品、機械部品などに主に使用されます。

ジュラルミンの特徴と欠点

ジュラルミンの特徴

軽くて強いのが特徴です。ざっくり言うと、軟鋼(SS400)に匹敵する強度でありながら、重さは1/3に近いという感じです。(比重や、強度の比較は下記に詳細があります)

表面にできる酸化皮膜のおかげで、錆びにくく、めっきが不要です。

ジュラルミンの欠点

ジュラルミンは通常の使い方では、純アルミと同様に錆びにくい材料ですが、塩素などの影響があると、純アルミより耐食性が劣ることが欠点です。

鉄のように表面から錆びるのであれば、内部まで錆びるのに時間がかかるので、壊れる心配が少ないです。

しかし、ジュラルミンは、応力腐食割れといって、内部に亀裂が走るように腐食が進行するので、見た目で判断しにくく、突然の破壊が起こりやすく、危険性が高くなります。

ジュラルミンの物理的性質

ジュラルミンの密度は?

ジュラルミンの密度は、2.79g/cm3です。

その他の物理的性質については、こちらをご欄ください。

ジュラルミンの物理的性質

ジュラルミンの強度

ジュラルミンの引張強さは、425MPaです。

ジュラルミンの降伏点は、明確には無く、代わりに0.2%耐力が用いられ、その値は、275MPaです。

その他の機械的性質については、下記をご参照ください。

ジュラルミンの機械的性質

ジュラルミンの成分

ジュラルミン(A2017)の成分は下記のとおりです。

ケイ素(Si):0.2~0.8
鉄(Fe):0.70以下
銅(Cu):3.5~4.5
マンガン(Mn):0.4~1.0
マグネシウム(Mg):0.4~0.8
クロム(Cr):0.1以下
亜鉛(Zn):0.1以下
チタン(Ti):0.15以下
その他:個々:0.05以下、合計:0.15以下
アルミニウム(Al):残部

ジュラルミンの加工と溶接

ジュラルミンの加工は、棒材やブロック材から切削加工となります。熱伝導率が高いこともあり切削性は良いです。

溶接はできないことはありませんが、銅を含有するので割れが発生しやすく、溶接性は良くありません。

ジュラルミンQ&A

超ジュラルミンと超々ジュラルミンの違いは?

ジュラルミン(A2017)と、超ジュラルミン(A2024)は、Al-Cu-Mg系の合金です。

超々ジュラルミン(A7075)は、Al-Cu-Zn-Mg系で、Zn(亜鉛)が入っていることが成分の違いです。

超々ジュラルミンの方が強度が高くなりますが、応力腐食割れが起こりやすい欠点があります。

ジュラルミンとステンレスの違いは?

ジェラルミンとステンレスは両者とも錆びにくい金属だという点は共通します。

両者とも、表面に酸化皮膜ができることで耐食性を得ています。

ジュラルミンは、主元素のアルミニウムが酸素と結合することで、酸化アルミニウムの層ができて耐食性を得るのに対し、ステンレス鋼は、主元素の鉄ではなく、合金成分であるクロムが酸素と結合した酸化クロムの層によって耐食性を得ています。

ジェラルミンは軽くて強い材料で、比重は、ジュラルミン(A2017)が2.79で、ステンレス鋼(SUS304)は7.93の約0.35倍となっています。

引張強さは、JISでは、ジュラルミンが425MPa、ステンレス鋼が520MPa、となっています。

密度あたりの引張強さである比強度(kN・m/kg)は、ジュラルミンが152.3で、ステンレス鋼が65.6なので、約2.3倍となります。

ジュラルミンの重さは?

ジュラルミン(A2017)の比重は2.79で、鉄が7.87なので、同じ大きさなら、0.35倍で、とても軽い金属です。通常目にする金属の中でアルミより軽いのは、マグネシウム(比重:1.74)くらいです。

ジュラルミンの磨き方

ジュラルミンのものを磨いて良いかは、アノダイズ(アルマイト)処理されているかどうかで分かれます。

アノダイズ処理されていない場合

ジュラルミンも含めアルミニウムは、大気中では自然に酸化して酸化アルミニウムの皮膜に覆われています。その厚さは、10Å(=0.001μm)程度と非常に薄いです。

アノダイズ処理されていない場合は、サンドペーパーや研磨剤などで磨いても、酸化皮膜は大気中ですぐに再生するので問題ありません。

アノダイズ処理されている場合

アノダイズ処理されているものは、乾いた布で汚れを取る程度にします。水や油を付けて磨いてもも問題ありません。

ジュラルミンは、耐食性を高めるため、アノダイズ(アルマイト)処理されたものが多いです。アノダイズ処理も酸化アルミニウムの皮膜ですが、被膜厚さは、5~20μmと厚くなります。

アノダイズ処理されたものをサンドペーパーや研磨剤などで磨くと皮膜が取れてしまいますので、耐食性が低下してしまいます。

アノダイズ処理されたもので着色されたものも有りますが、この色はアノダイズ処理の表面にある微細な穴に色が入ったものなので、色も取れてしまいます。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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