A5154とは?【強度・比重・ヤング率・硬度】機械的性質と使い方

ここでは、アルミニウム合金A5154を使って機械部品の設計するときに必要な情報として、化学成分や機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、比重やヤング率などの物理的性質や、A5154の使い方などについてもまとめました。

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A5154とは

A5154 非熱処理型合金 Al-Mg系合金

A5154は、A5052とA5083の中間程度の強度があり、耐食性、成形性、溶接性にも優れた材質です。

船舶、車両、建築材、飲料缶などに向いています。

A5154の強度は?機械的性質まとめ

A5154の機械的性質を下記に示します。

【A5154の機械的性質(目安値)】

材質 引張性質 ブリネル硬さ
(HBS 10/500)
せん断強さ
(N/mm2
疲れ強さ
(N/mm2
引張強さ
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び(%)
1.6mm厚
(50mm)
12.5mm径
(5D)
5154-O 240 115 27 58 150 115
5154-H32 270 205 15 67 150 125
5154-H34 290 230 13 73 165 130
5154-H36 310 250 12 78 180 140
5154-H38 330 270 10 80 195 145
5154-H112 240 115 25 63 115

ここにあるA5154の機械的性質はあくまで目安値となります。実際にはサイズや条件により大幅に変化しますのでご注意ください。

規格値については、下記のJISにて、質別や材料寸法によってA5154の機械的性質が詳細に規定されていますので必要に応じてJISにてご確認ください。

A5154の物理的性質

A5154の物理的性質は下表のとおりです。これは代表値ですのでご注意ください。

【A5154の物理的性質)】

物理的性質 条件 物性値
密度[g/cm3] 温度:20℃ 2.66
比重 温度:20℃ 2.66
溶融温度範囲[℃] 593~643
導電率[IACS%] 全質別平均 32
熱伝導度[kW/(m・℃)] 全質別平均 25℃ 0.13
縦弾性係数(ヤング率)[GPa] (アルミニウムの標準値) 70
横弾性係数[GPa] (アルミニウムの標準値) 26
ポアソン比 (アルミニウムの標準値) 0.33
線膨張係数[10-6/℃] -196~-60℃
-60~+20℃
20~100℃
100~200℃
200~300℃

A5154の成分

A5154の成分は下記のとおりです。

【A5154の化学成分(%)]

Si Fe Cu Mn Mg
0.25以下 0.40以下 0.10以下 0.10以下 3.1~3.9
Cr Zn V,Bi,Pb,Zr, Niなど Ti その他 Al
個々 合計
0.15~0.35 0.20以下 0.20以下 0.05以下 0.15以下 残部

A5154の関連規格

A5154は下記のJIS規格で規定されています。

規格番号 規格名称 A5154の規定有無
JIS H4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
JIS H4080 アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管
JIS H4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H4140 アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

A5154の使い方ワンポイント

A5154の特徴は下記のとおりです。

合金 質別 耐食性 耐応力腐食割れ性 成形性 切削性 ろう付け性 溶接性 鍛造性
ガス アルゴン 抵抗
5154 O A A A D D C A B
5154 H34 A A B C D C A A
5154 H38 A A C C D C A A

優:A→B→C→D:劣(切削性のみ:優:A→B→C→D→E:劣)

A5154の使い方

A5154はMgの量が、汎用的によく使われるA5052と強度を高めたA5083の中間程度で、このため強度も両者の中間程度になっています。

耐食性や溶接性にも優れているので、幅広い用途に適用できる材料です。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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