SCM432とは【密度・硬度・ヤング率など】使い方と注意事項

この記事では、SCM432で機械部品設計をする時に必要になる情報として、化学成分、機械的性質などJIS規格の内容を整理しました。

また、密度やヤング率などの物理的性質や、実際に設計する上で重要な注意事項などについてもできるだけまとめました。

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SCM432とは

SCM432は焼入れ焼戻しによって、強度と粘りのバランスの良い特性が得られます。

SCM432の関連規格

SCM432は下記のJIS規格で規定されています。

SCM432には、焼入れ性保証のH鋼の規格はありません。

規格番号規格名称概要
JIS G4053機械構造用合金鋼鋼材成分、寸法などを規定
JIS G3441機械構造用合金鋼鋼管記号:SCM432TK
鋼管の成分、寸法などを規定

SCM432の化学成分

JISで規定された、SCM432の化学成分は下記のとおりです。

他のクロモリ鋼と比較して、SCM432だけがモリブデン(Mo)の量が多くなっています。

  • SCM432の化学成分[%]
CSiMnPS
0.27 ~ 0.370.15 ~ 0.350.30 ~ 0.60≦ 0.030≦ 0.030
NiCrMoCu
≦ 0.251.00 ~ 1.500.15 ~ 0.30≦ 0.30

炭素当量

SCM432の炭素当量は、以下のとおりです。

0.56~0.87

炭素当量は、溶接の熱影響部の脆さを炭素量に換算した数値で示した値です。

この数値が0.44%以上になると溶接割れを起こしやすくなります。

SCM432では溶接によって焼入れが入り熱影響部が硬化しますので、溶接には向きません。

SCM432の機械的性質

下記の機械的性質は、旧JISに乗っていた、SCM432の参考値です。熱処理条件や質量効果などにより大きく変化しますので、あくまで参考に留めてください。

SCM432の機械的性質

熱処理降伏点
MPa
引張強さ
MPa
伸び
%
絞り
%
シャルピー
衝撃値
J/cm2
硬度
HB
焼入れ焼戻し735以上880以上16以上50以上88以上255~321

SCM432の熱処理(焼入れ・調質)

SCM432のJISに規定された基本的な熱処理条件は下記の通りです。

必ずしもこの通りである必要はなく、必要な強度や硬さを得るために熱処理条件は変更すべきです。

SCM432の熱処理条件

焼ならし焼なまし焼入れ焼戻し
830~880℃油冷530~630℃空冷

SCM432の物理的性質

下記の値は必ずしもSCM432そのものではなく、炭素量が近い炭素鋼の値となりますので、参考に留めてください。

特に熱伝導率や固有抵抗は成分のバラツキによる変動が大きくなりますのでご注意ください。

SCM432の物理的性質

物理的性質物性値
縦弾性係数(ヤング率)[GPa]210~214
横弾性係数[GPa]82~83
ポアソン比(常温)0.28~0.29
密度[g/cm3]7.81~7.82
比重7.81~7.82

SCM432の使い方と注意事項

SCM432は一般用強靭鋼と呼ばれ、炭素量は、SCM430やSCM435より範囲が広くなっています。

SCM430やSCM435が0.05%の範囲なのに、SCM432だけは、0.10%の範囲になっているのが判ります。SCM432であれば、SCM430とSCM435の範囲をほぼ含むことになります。

【炭素量の比較】

  • SCM430:0.28~0.33%
  • SCM432:0.27~0.37%
  • SCM435:0.33~0.38%

 

また、SCM432は、クロムの量が若干多くなっています。

クロムは焼入れ性を良くし、焼き戻し抵抗を増しますが、公差範囲がラップしているのでさほど大きな違いににはならなそうです。焼入れ性を重視するなら、現在主流の、SCM435Hを指定すべきです。

  • SCM432:1.00~1.50%
  • SCM430、SCM435:0.90~1.20%

 

SCM432に相当する海外規格も無いので、この鋼種の存在意義は良く判りませんね。

特別な事情がなければ、材料入手をしやすくするため、図面にSCM430~SCM435などと指定するのも良いと思います。

【関連材料】
SCM415 SCM418 SCM420 SCM421 SCM425 SCM430 SCM432 SCM435 SCM440 SCM445 SCM882
この記事を書いた人
DD

機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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