地球温暖化で夏は記録的な猛暑になり、エアコンの冷房は必須ですよね。
でも、冷房は寒いからキライ!って言う人も多いと思います。
私も、冷房の風が嫌いで、いつも風量は最弱にして、なるべく直接当たらないようにしています。それでも寒く感じることがあります。
そこで、冷房はなぜ寒いのかについて、その根本的な原因と、対策についてお話していきます。
冷房が寒い根本原因
26℃でも寒くて、でも27℃にすると暑い!みたいに、ちょうど良い温度が無い!
なんて体験はありませんか?
これは、エアコンは「風」のせいで熱の伝わり方が不自然だからです。
熱の伝わり方は3種類
ちょっと理屈っぽいですが、伝熱(熱の伝わり方)について、まずご説明します。
伝熱には、伝導、対流、輻射の3つが有ります。
伝導は固体を伝わって広がるで、カイロを肌につけた時に暖かく感じたり、フローリングの床が冷たく感じるなどの時に起こります。
対流は、気体の動きで伝わる熱で、暖かい空気が上に上がる「自然対流」と、サーキュレーターで暖かい空気を下げるときの「強制対流」があります。
輻射は放射とも言いますが、電磁波(赤外線)で伝わる熱です。何も無い宇宙空間でも、太陽からの輻射熱は伝わるんです。
この3つの伝熱のバランスが悪いと、暑いんだか、寒いんだか判らなくなって、快適度が落ちます。
快適じゃないので、ある人は、暑い!、別の人は、寒い!っていうようにみんな文句を言うようになります。
エアコンは強制対流
エアコンの伝熱は、「強制対流」に頼った、非常にバランスの悪いしくみです。
窓、壁、天井からの輻射熱によって、暑く感じるのに、
一方で、エアコンの強制対流で、文字通り強制的に冷やされて、寒く感じます。
輻射伝熱と対流伝熱のバランスが悪いので、不自然に感じてしまう訳です。
エアコンでの25℃と、自然な気温の25℃とは、感じ方が全く異なるのはこのような理由になります。
なので、何℃に設定してもちょうど良く感じられないんですね。でも、エアコンで冷えるしくみが強制対流である以上、無風では冷えませんので、これはしかたの無いことです。
以上をまとめると
エアコンでの冷房が寒い根本原因は、
- 不自然な伝熱のせいで何℃にしても快適でない
- 少し強めると強制対流による風のせいで寒い
ということになります。
根本的な解決策
では、エアコンの冷房が寒くならないようにする方法です。
それは、
- 輻射熱を抑えて、自然な伝熱に近づける
- 強制対流による風を弱くする
ということです。
これを本当に実現するには、強制対流方式ではないエアコンにする必要があります。
輻射冷房方式の冷房とは
強制対流を使わない、輻射冷房というものがあります。
冷房の寒さを根本的に解決するものとして、まず輻射冷房をご紹介します。
天井や壁に冷水配管を通したパネルを設置して、基本的にファンを使わずに、パネルからの輻射冷熱と、自然対流によって室内を冷やすしくみです。
床暖房の冷房版だと考えれば解りやすいかと思います。
大掛かりな工事が必要なので、数百万円はかかりますが、風は絶対にイヤ!って言う人は考えてみても良いかもしれません。
寒くなりにくいエアコンを選ぶ
数百万円の工事なんて無理だよ!って思いましたか?
私も無理ですので、現在のエアコンで少しでも寒くならないようにする方法をご紹介します。
各メーカーいろいろ工夫していていますので、選ぶポイントがあるんです。
天井や壁を冷やせるエアコン
まず大事なのは、風の吹出口がなるべ上を向くことです。
上に向けることで、冷気が直接体に当たらないようにすることはもちろんですが、天井や壁に冷気を当たることで、天井や壁の温度を下げる効果があります。
温度が下がれば、放射される赤外線の量が減り、輻射熱が下がり快適性が増します。
最低能力が低いエアコンがおすすめ
なるべく風量が少ないエアコンを選んだ方が良いです。
しかし、エアコンの風量は、エアコンを実際に設置してみないと判りません。
でも、エアコンのカタログから、風量の少なそうなものを探すことはできます。
それは、冷房の最低能力を見ることです。
上記の0.5という数値が、冷房の最低能力です。例えば、6畳用だと2.2kWの冷房能力になりますが、これは最大の能力です。
冷房の最低能力は、カタログの細かい仕様を見ないと載ってないと思います。
最低能力は通常、6畳用で、0.4~0.8kW程度です。この数値が低いほど微弱な運転が可能なので、寒くなりすぎません。
高級機種は、モーターやインバーター(制御回路)が高価なものになっているので、出力を落とした運転が可能なのです。
安い機種だと、ON-OFFの繰り返しのように動くので、エアコンが動くと寒い、止まると暑い、と感じて快適性が落ちます。
エアコンの使い方でなんとかする!裏技をご紹介
エアコンを新しいものに替えるなんて無理!って思いましたか?
私も無理ですので、今あるエアコンでなるべく寒くならない方法を工夫してみましょう。
暑がりを黙らせる!粗熱をとって輻射熱を抑える
暑い日に汗をだらだら流して帰ってきたときは、冷房を最強でかけて風に当たりたくなりますよね。
そうすると、家にいた人は強風にさらされて寒いです。
で、暑い!寒い!のケンカになるわけです。
そこで、自分は別の部屋に避難して、誰かが帰ってくる前にリビングを思いっきり冷やして粗熱をとっておきます。
そうすると壁や天井が冷えて、輻射熱を抑えられるので、帰ってきた人は部屋に入るなり快適です。
風を強くしなくて大丈夫なので、家にいた人もそれほど寒くならなくて済みます。
疑似「輻射冷房」で睡眠時みんなをハッピーにする方法
最近は睡眠時に暑すぎて、熱中症になるっていう話もよく聞きます。
冷房を入れたまま寝る人もいますが、私はそんなことをしたら確実に風邪をひきます。
そこで、輻射冷房に近い状態にして、真夏の睡眠時をできるだけ快適にする方法についてご紹介します。
省エネにはマイナスなのですが、背に腹は代えられませんので。
その方法は、寝る3時間前から、寝室を最低温度設定、最大風量でキンキンに冷やす方法です。
布団の場合は先に敷いてしまうと、布団の下が冷えないので敷かない方が良いです。
同様に、棚の扉の中など熱が籠もる場所も開けて、冷気が入るようにしておきます。
こうして、部屋中のすべての部分を目一杯冷やすことで、天井、壁、床の温度を下げ、輻射熱を抑えます。
そして寝る前に冷房を止めると、無風の輻射冷房状態にできます。
寝る時はひんやりして、暑がりの人でも満足でき、無風なので寒がりの人も大丈夫です。
猛暑の日だと、明け方には暑くなってしまいますが、かなり長時間快適な状態を保てます。
けちって1時間程度の冷却ではダメですよ。
最低でも3時間は冷やし壁に触るとひんやりと感じるようにしてください。
まとめ
以上、冷房を快適で寒い思いをしないで快適に使うには、輻射熱を抑えることがポイントでした。
夏の間は避暑地に行って優雅にすごせるような身分になってみたいですが。