フラットバー(平鋼)とは?黒皮&みがきの規格や定尺寸法

フラットバー(平鋼)は、建築用途での使用量が多い鋼材ですが、ブラケット、ステー、プレート、フレームといった名前の付く機械部品にもよく使用されます。

ここでは、機械部品の設計のために必要な、フラットバーの規格や、定尺サイズ、材質などについてまとめます。

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フラットバーとは

フラットバーは長方形断面の鋼材です。熱間圧延で作られる黒皮(酸化スケール)のついたものと、冷間引き抜きでつくられる、みがき棒(以下、みがきフラットバー)があります。

熱間圧延フラットバー

熱間圧延の鋼板や鋼帯は、厚さ方向のみの2面圧延ですが、フラットバーは、厚さ方向と幅方向の4面圧延で加工されます。

厚さや幅が規格化されているので、必要な長さに切断して、そのまま使用されます。

しかし、

  • 精密な機械部品には精度が不足(寸法公差範囲が大きい)
  • 溶接する場合は黒皮をサンダーなどで落とさないと、溶接品質が悪くなる。

ので、精密な機械部品にはあまり向きません。

材質はSS400が主となります。

みがきフラットバー(ミガキ平鋼)

みがきフラットバーは、丸棒などと同じ製法となり、黒皮を除去後に冷間引き抜き加工されているので、寸法精度は良くなります。

また、加工硬化しているので黒皮材よりも強度が高くなります。

曲げ、穴あけ、座ぐり、フライス加工などの際は、基準面がでているので加工が容易です。

溶接もそのままできるので、様々な機械部品に加工が可能です。但し、価格は黒皮材よりも高くなります。

材質は、SGD400-D、S45Cが主となります。(SGD400-Dは、SS400のみがき材に相当します)

フラットバーの規格

フラットバーに関連するJIS規格は下記のとおりです。

JIS番号規格名称要点
JISG3194熱間圧延平鋼の形状,寸法,質量及びその許容差フラットバーの寸法、許容差など
JISG3123みがき棒鋼みがきフラットバーの寸法・許容差など
JISG3101一般構造用圧延鋼材普通鋼(SS400など)の成分、機械的性質など
JIS G4051機械構造用炭素鋼鋼材S45C素材の成分規定など

フラットバーの定尺サイズ

フラットバーの定尺の、肉厚(厚み)幅、重量は下記のとおりです。

上記のJISG3194の標準寸法に無いサイズが流通していたり、逆にJISに有ってもほとんど流通していなサイズがありますので注意が必要です。

フラットバーを機械部品を設計する際は、できるだけフラットバーの規格サイズに合わせた肉厚や幅で設計することで、無用なコストがかからずにすみます。

黒皮フラットバー(SS400材)

市場での流通有無については、目安として下記のように分類しました。

  • ◎:各社の標準サイズ
  • ○:複数社で標準にしているサイズ
  • △:1社で流通が確認できたサイズ
  • ×:流通なし
肉厚
mm

mm
質量
kg/m
JISG3194
に有り:○
に無し:×
流通
390.212×
3130.306×
3160.377×
3190.447×
3220.518×
3250.589×
3320.754×
3380.895×
3441.04×
3501.18×
3601.41×
3651.53×
3751.77×
3902.12×
31002.36×
31252.94×
31503.53×
4.5130.459×
4.5160.565×
4.5190.671×
4.5220.777×
4.5250.883
4.5321.13
4.5381.34
4.5441.55
4.5501.77
4.5602.12×
4.5652.30
4.5752.65
4.5903.18
4.51003.53
4.51254.42
4.51505.30
6130.612×
6160.754×
6190.895×
6221.04×
6251.18
6321.51
6381.79
6442.07
6502.36
6602.83×
6653.06
6753.53
6803.77×
6904.24
61004.71
61105.18×
61255.89
61507.06
61607.54×
61657.77×
61708.01×
61758.24×
61808.48
62009.42
623010.8
625011.8
628013.2×
630014.1
9161.13×
9191.34×
9221.55×
9251.77
9322.26
9382.68
9443.11
9503.53
9604.24×
9654.59
9704.95×
9755.30
9805.65×
9906.36
91007.06
91107.77×
91208.48×
91258.83
915010.6
916011.3×
916511.7×
917012×
917512.4×
918012.7
920014.1
925017.7
928019.8×
930021.2
935024.7
940028.3
122018.8×
12222.07×
12252.36
12323.01
12383.58
12444.14
12504.71
12605.65×
12656.12
12757.06
12807.54×
12908.48
121009.42
1211010.4×
1212011.3×
1212511.8
1215014.1
1216015.1×
1216515.5×
1217016×
1217516.5×
1218017
1220018.8
1225023.6
1228026.4×
1228526.8×
1230028.3
1235033
1240037.7
16253.14×
16324.02
16384.77
16445.53
16506.28
16607.54×
16658.16
16708.79×
16759.42
168010×
169011.3
1610012.6
1611013.8×
1612515.7
1615018.8
1616020.1×
1616520.7×
1617021.4×
1617522×
1618022.6
1619023.9×
1620025.1
1623028.9
1625031.4
1628035.2×
1628535.8×
1630037.7
1635044
1640050.2
1645056.5×
1650062.8×
19253.73×
19324.77×
19385.67
19446.56
19507.46
19608.95×
19659.69
197010.4×
197511.2
198011.9×
199013.4
1910014.9
1912518.6
1915022.4
1918026.8
1920029.8
1923034.3×
1925037.3
1928041.8×
1930044.7
1935052.5
1940059.7
1945067.1×
1950074.6×
22325.53×
22386.56×
22447.60×
22508.64
226511.2
227012.1×
227513.0
228013.8×
229015.5
2210017.3
2212521.6
2215025.9
2218031.1
2220034.5
2223039.7×
2225043.2
2228048.4×
2230051.8
2235060.4
2240069.1
2245077.7×
2250086.4×
25326.28×
25387.46×
25509.81
256512.8
257514.7
259017.7
2510019.6
2512524.5
2515029.4
2520039.2
2523045.1×
2525049.1
2528055.0×
2530058.9
2535068.7
2540078.5
2545088.3×
2550098.1×
285011.0×
286514.3×
287516.5
289019.8
2810022.0
2812527.5×
2815033.0
2820044.0
2823045.1×
2825055.0
2828055.0×
2830065.9
2835076.9
2840087.9
2845098.9×
28500110×
32389.55×
325012.6×
326516.3×
327518.8
329022.6
3210025.1
3212531.4
3215037.7
3220050.2×
3223057.8×
3225062.8
3228070.3×
3230075.4
3235087.9
32400100.0
32450113.0×
32500126.0×
365014.1×
366518.4×
367521.2
369025.4
3610028.3
3612535.3
3615042.4
3618050.9×
3620056.5×
3623065.0×
3625070.6×
3628079.1×
3630084.8×
3635098.9×
36400113.0×
36450127.0×
36500141.0×
385014.9×
386519.4×
387522.4×
389026.8×
3810029.8×
3812537.3×
3815044.7×
3820059.7×

厚さ40mm、45mmもJISG3194にはありますが、標準サイズとして流通が無いので省略しました。

みがきフラットバー(SS400、S45C)

みがきフラットバーの定尺の、肉厚(厚み)幅、重量は下記のとおりです。

こちらも、JISG3123に標準寸法として規定の無いサイズが流通していたり、逆にJISに有ってもほとんど流通していなサイズがありますので注意が必要です。

肉厚
mm

mm
質量
kg/m
JISG3123
に有り:○
に無し:×
流通
○:有り
SGD400-DS45C
360.14×
390.21
3100.24×
3120.28
3130.31×
3160.38
3190.45
3220.52
3250.59
3320.75
3380.89
3501.18
490.28
4100.31×
4120.38
4130.41×
4160.50
4190.60
4220.69
4250.79
4321.00
4381.19
4501.57
4.590.32
4.5120.42
4.5130.46×
4.5160.57
4.5190.67
4.5220.78
4.5250.88
4.5321.13
4.5381.34
4.5441.55×
4.5501.77
4.5652.30×
4.5752.65×
4.51003.53×
4.51254.42×
4.51505.30×
4.51806.36×
4.52007.07×
590.35
5120.47
5130.51×
5160.63
5190.75
5220.86
5250.98
5321.26
5381.49
5441.73×
5501.96
690.42
6100.47×
6120.57
6130.61×
6160.75
6190.89
6200.94×
6221.04
6251.18
6321.51
6381.79
6401.88×
6442.07×
6502.36
6602.83×
6653.06
6753.53
6904.24×
61004.71
61255.89
61507.07
61808.48×
62009.42×
625011.78×
630014.13×
9120.85
9130.92×
9161.13
9191.34
9221.55
9251.77
9322.26
9382.68
9443.11×
9453.18×
9503.53
9604.24×
9654.59
9755.30
9906.36×
91007.07
91258.83
915010.60
918012.72×
920014.13×
925017.66×
930021.20×
10120.94×
10151.18×
10161.26×
10201.57×
10221.73×
10251.96×
10302.36×
10322.51×
10382.98×
10403.14×
10503.93×
10604.71×
10655.10×
10755.89×
10907.07×
101007.85×
101259.81×
1015011.78×
1020015.70×
12161.51×
12191.79
12201.88×
12222.07
12252.36
12282.64×
12323.01
12383.58
12444.14×
12454.24×
12504.71
12605.65×
12656.12
12757.07
12908.48×
121009.42
1212511.78
1215014.13
1218016.96×
1220018.84×
1223021.67×
1225023.55×
1230028.26×
16192.39×
16202.51×
16222.76
16253.14
16324.02
16384.77
16445.53×
16455.65×
16506.28
16607.54×
16658.16
16759.42
169011.30×
1610012.56
1612515.70
1615018.84
1618022.61×
1620025.12×
1625031.40×
1630037.68×
19223.28×
19253.73
19324.77
19385.67
19446.56×
19507.46
19608.95×
19659.69
197511.19
199013.42×
1910014.92
1912518.64
1915022.37
1918026.85×
1920029.83×
1925037.29×
1930044.75×
20253.93×
20507.85×
206510.21×
2010015.70×
22254.32×
22325.53
22386.56
22447.60×
22508.64
226010.36×
226511.23
227512.95
229015.54×
2210017.27
2212521.59
2215025.91
2218031.09×
2220034.54×
2225043.18×
2230051.81×
25326.28
25387.46
25448.64×
25509.81
256011.78×
256512.76
257514.72
259017.66×
2510019.63
2512524.53
2515029.44
2518035.33×
2520039.25×
2525049.06×
2530058.88×
305011.78×
306014.13×
306515.31×
307517.66×
3010023.55×
3012529.44×
3015035.33×
3020047.10×
325012.56×
326516.33×
327518.84×
3210025.12×
3212531.40×
3215037.68×
3220050.24×
3225062.80×
3230075.36×
385014.92×
386519.39×
387522.37×
3810029.83×
3812537.29×
3815044.75×
3820059.66×
3825074.58×
3830089.49×
506525.51×
507529.44×
5010039.25×
5012549.06×
5015058.88×
5020078.50×
5025098.13×
50300117.75×

フラットバーを上手に活用して設計する

図面はいくらでも好きなように書けますが、製作先では困っているかもしれません。

JISを見るだけではダメで、実際に材料が入手できるかの確認が必要です。標準の材料を上手に使って設計することはもちろん、やはり、現場としっかり会話することが大切ですね。

この記事を書いた人
DD

機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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