SUS403は、マルテンサイト系ステンレス鋼の中では、SUS410と並んで多用され、高強度で、特に高温での強度が必要な用途に多く使用されます。
ここでは、SUS403の特徴や詳細な性質についてまとめました。
SUS403とは?
まずは、SUS403の特徴と機械部品に適用する場合の注意事項などについてご説明します。
マルテンサイト系ステンレス鋼に共通する特徴や使い方などについてはこちらをご覧ください。
SUS403の用途
SUS403は、耐摩耗性に優れているので、工具、刃物、タービンブレード、ブレーキディスク、シャフト、ベアリングなどに使用されます。
熱処理の靭性が高く、SUS304のボルトと組み合わせるナットにも、かじり防止のためSUS403が使用されます。
SUS403のJIS規格
SUS403は、下記のJISで規定されています。
「JIS G3446 機械構造用ステンレス鋼鋼管」
「JIS G3601 ステンレスクラッド鋼」
「JIS G4303 ステンレス鋼棒」
「JIS G4304 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」
「JIS G4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」
「JIS G4308 ステンレス鋼線材」
「JIS G4309 ステンレス鋼線」
「JIS G4311 耐熱鋼棒及び線材」
「JIS G4312 耐熱鋼板及び鋼帯」
「JIS G4315 冷間圧造用ステンレス鋼線」
「JIS G4317 熱間成形ステンレス鋼形鋼」
「JIS G4318 冷間仕上ステンレス鋼棒」
「JIS G4319 ステンレス鋼鍛鋼品用鋼片」
SUS403の機械的性質
SUS403の機械的性質を下記に示します。
【SUS403の機械的性質】
機械的性質 | 焼入焼戻し | 焼なまし |
---|---|---|
引張強さ[MPa] | 590以上 | 440以上 |
0.2%耐力[MPa] | 390以上 | 205以上 |
伸び[%] | 25以上 | 20%以上 |
絞り[%] | 55以上 | - |
シャルピー衝撃値[J/cm2] | 147以上 | - |
ブリネル硬さ[HBW] | 170以上 | 201以下 |
ブリネル硬さ[HRBS又はHRBW] | 87以上 | 93以下 |
ビッカース硬さ[HV] | 178以上 | 210以下 |
適用寸法(径、耐辺距離又は厚さ) | 75mm以下 | - |
注:JIS G4303 ステンレス鋼棒」による。硬さは上記のいずれか1種類を適用します。
SUS403の物理的性質
SUS403の焼きなまし状態での物理的性質は下表のとおりです。
【SUS403の物理的性質】
物理的性質 | 物性値 |
---|---|
密度[g/cm3] | 7.75 |
比重 | 7.75 |
SUS403の成分
SUS403の化学成分は下記のとおり規定されています。
【SUS403の化学成分[%]】
元素 | 含有量 |
---|---|
C | 0.15以下 |
Si | 0.50以下 |
Mn | 1.00以下 |
P | 0.040以下 |
S | 0.030以下 |
Cr | 11.50 ~ 13.00 |
Niは、0.60%を超えてはならない。
(「JIS G4303 ステンレス鋼棒」による)
マルテンサイト系ステンレス鋼とは【規格・溶接・強度・磁性など】