C6801とは?用途や強度や比重と耐食性もまとめ

C6801はJISに規定された鉛フリー快削黄銅で、環境対応型の高被削性銅合金です。

鉛を含まずに快削性を確保し、RoHSやELV、水道法などの環境規制に対応可能で、機械部品や水回り製品に適しています。

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C6801の特徴と性質

C6801は一般的に次のような特徴があります。

  • 鉛フリー:鉛を含まず、環境・健康に配慮された材料。
  • 優れた快削性:鉛を使用しなくても高い切削性を実現。
  • 適度な強度:機械部品や構造材として使用可能。
  • 良好な耐食性:日常使用環境下で安定した耐久性。

 

C6801の用途例

C6801はその環境性能と快削性から、広範な工業製品に用いられています。

  • 水道金具、バルブ部品
  • 配管継手、ジョイント
  • 自動車機械部品
  • 電気・電子部品の構造材
  • 家電製品の精密機構部品

C6801

C6801の化学成分(JIS H3250準拠)

C6801の主な化学成分は以下の通りです。鉛はRoHS指令の0.1wt%以下であり、ビスマスを添加することで快削性を確保しています。

元素 含有量(%)
銅(Cu) 57.0~64.0
亜鉛(Zn) 残部
スズ(Sn) 0.10~2.50
鉄(Fe) 0.5以下
鉛(Pb) 0.01以下
リン(P) 0.20以下
ビスマス(Bi) 0.50~4.00
カドミウム(Cd) 0.0075以下

 

C6801の機械的性質(JIS H3250準拠)

C6801の機械的性質は下記のとおりです。

質別記号 製品記号 引張強さ (N/mm²) 伸び (%) 硬さ(HV)
F C6801BE-F 315以上 5以上 75以上

 

C6801の物理的性質(物性値)

C6801は以下のような物理特性を持ちます。類似材質の値なので参考に留めてください。

項目 数値 単位
密度 約8.4 g/cm³
熱伝導率 約96 W/(m·K)
電気伝導率(20℃) 約24 %IACS
線膨張係数(20~300℃) 19.6×10⁻⁶ /K
ヤング率 約101 GPa
ポアソン比 約0.33

C6801と環境負荷物質・規制対応

◆ C6801に含まれる有害物質(JISに準拠)

元素 含有量上限 備考
鉛(Pb) 0.01%以下 RoHS、ELV、水道法に完全適合
カドミウム(Cd) 含まれない 環境規制に完全適合
水銀(Hg) 含まれない
六価クロム(Cr⁶⁺) 含まれない
PBB/PBDE 含まれない 難燃剤不使用

C6801は完全無鉛黄銅として、RoHS指令、ELV指令、日本の水道法、NSF/ANSI 61(米国)など、幅広い環境・健康規制に適合します。

鉛フリーでありながら快削性を保持する優れた環境対応材料です。

機械設計者がC6801を使う際の注意点とトラブル事例

C6801は優れた材料ですが、鉛含有材料とは異なる特性に配慮が必要です。

◆ 設計上の注意点

項目 内容 解説・対策
切削加工性 鉛入り黄銅(C3604)と比較して切削抵抗がやや大きくなる 工具材質、加工速度の最適化が必要
リサイクル 切り屑は鉛入り黄銅材と分別する必要がある 鉛材からの切り替えは一気に行うか、加工機を分ける
冷間鍛造には不向き 冷間加工での成形性は限定的 熱間加工を基本とする設計

 

まとめ

C6801は、環境規制に完全対応した鉛フリー快削黄銅で、健康・安全性が求められる製品に最適です。

従来の鉛入り黄銅に代わる材料として、自動車・水道・電子機器分野で幅広く使用されています。

鉛フリーながら優れた快削性を持ち、環境対応を重視する製品設計において今後さらに重要となる素材です。

この記事を書いた人
DD
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機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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