エンプラ比較ランキング!強度・耐熱・密度など一覧

汎用プラスチック、エンプラ(エンジニアリングプラスチック)、スーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)について、様々な評価軸でランキングにしました。

イメージを掴むためにお使いください。(正確な数値はメーカーカタログ等でご確認ください)

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価格

プラスチックの価格を安価な順に並べると、以下のようになります。

実際の価格は、市況、メーカー、グレード、形状、品質、数量、などによって変わり、順位が逆転することもありますので参考に留めてください。

黒色:汎用プラスチック、赤色:エンプラ青色:スーパーエンプラ

  1. PE (ポリエチレン)
  2. PP (ポリプロピレン)
  3. PS (ポリスチレン)
  4. PVC (ポリ塩化ビニル)
  5. ABS (アクリロニトリルブタジエンスチレン)
  6. PET (ポリエチレンテレフタレート)
  7. POM (ポリアセタール)
  8. PMMA (ポリメチルメタクリレート)
  9. AS (アクリロニトリルスチレン)
  10. PA (ポリアミド/ナイロン)
  11. mPPE (変性ポリフェニレンエーテル)
  12. PC (ポリカーボネート)
  13. PBT (ポリブチレンテレフタレート)
  14. PPS (ポリフェニレンサルファイド)
  15. PES (ポリエーテルスルホン)
  16. PFA (ペルフルオロアルコキシアルカン)
  17. ETFE (エチレンテトラフルオロエチレン)
  18. FEP (フッ化エチレンプロピレン)
  19. PCTFE (ポリクロロトリフルオロエチレン)
  20. PVDF (ポリフッ化ビニリデン)
  21. PSU (ポリサルホン)
  22. PEI (ポリエーテルイミド)
  23. PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)
  24. PPA (ポリフタルアミド)
  25. PI (ポリイミド)
  26. LCP (液晶ポリマー)
  27. PEEK (ポリエーテルエーテルケトン)
  28. PAI (ポリアミドイミド)
  29. PBI (ポリベンズイミダゾール)

密度(高い順)

水に浮く(比重1以下)の樹脂は、PEとPPのみです。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D792
  • 試験方法: サンプルを浸漬法により密度を測定。
順位 樹脂名 密度 (g/cm³)
1 PCTFE 約 2.15
2 PTFE 約 2.10 ~ 2.30
3 PVDF 約 1.78 ~ 1.80
4 PFA 約 2.15
5 FEP 約 2.12 ~ 2.17
6 ETFE 約 1.70 ~ 1.75
7 PAI 約 1.42 ~ 1.44
8 PI 約 1.42 ~ 1.45
9 PSU 約 1.24 ~ 1.30
10 PES 約 1.37 ~ 1.40
11 PPS 約 1.34 ~ 1.38
12 PEEK 約 1.30 ~ 1.32
13 LCP 約 1.35 ~ 1.44
14 PVC 約 1.38 ~ 1.41
15 PBI 約 1.30 ~ 1.38
16 PC 約 1.20 ~ 1.22
17 PET 約 1.34 ~ 1.40
18 PBT 約 1.31 ~ 1.41
19 PMMA 約 1.18 ~ 1.20
20 POM 約 1.41 (ホモポリマー), 約 1.40 (共重合体)
21 PPA 約 1.20 ~ 1.35
22 PS 約 1.04 ~ 1.08
23 ABS 約 1.04 ~ 1.07
24 AS 約 1.06 ~ 1.10
25 PEI 約 1.27
26 mPPE 約 1.05 ~ 1.13
27 PA 約 1.13 ~ 1.15 (PA66), 約 1.14 (PA6)
28 PP 約 0.90 ~ 0.91
29 PE 約 0.91 ~ 0.97

 

常温引張強さ(高い順)

PBI(ポリベンゾイミダゾール)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は高温でも優れた機械的特性を持つため、高温環境での使用に適しています。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D638
  • 試験方法: 標準試験片に引張試験を実施し、最大引張強さを測定。
順位 樹脂名 常温引張強さ (MPa)
1 PBI 150
2 PEEK 110
3 PI 90
4 LCP 90
5 PPA 90
6 PAI 85
7 PPS 85
8 PA 75
9 PMMA 75
10 PSU 70
11 PES 70
12 PC 70
13 POM 70
14 PBT 60
15 PET 60
16 mPPE 55
17 PVC 50
18 PVDF 50
19 ABS 45
20 PS 40
21 PP 35
22 PTFE 30
23 PFA 30
24 ETFE 30
25 FEP 30
26 PE 25
27 PCTFE 25

耐衝撃性(高い順)

PC(ポリカーボネート)は、特に高い耐衝撃性を持つため、衝撃に強い部品に適しています。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D256
  • 試験方法: アイゾット衝撃試験を実施し、エネルギー吸収量を測定。
順位 樹脂名 耐衝撃性 (J/m)
1 PC 900
2 PAI 500
3 ABS 300
4 PEEK 200
5 PI 150
6 PSU 140
7 PES 130
8 PA 100
9 POM 80
10 PPS 70
11 PET 60
12 PBT 60
13 mPPE 55
14 PVC 50
15 PP 40
16 PE 40
17 PS 30
18 PMMA 30
19 PTFE 20
20 PFA 20
21 ETFE 20
22 FEP 15
23 PCTFE 15
24 PVDF 10
25 LCP 10
26 PBI 5
27 PPA 5

 

耐摩耗性(高い順)

POM(ポリアセタール)は、優れた耐摩耗性を持ち、自己潤滑性もあることから特に歯車やベアリングに使用されます。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D3702
  • 試験方法: ロータリーディスク法により摩耗量を測定。
順位 樹脂名 耐摩耗性 (mm3)
1 POM 0.02
2 PEEK 0.03
3 PAI 0.04
4 PI 0.05
5 PA 0.07
6 PPS 0.08
7 PSU 0.10
8 PES 0.12
9 LCP 0.15
10 PBT 0.18
11 PET 0.20
12 mPPE 0.25
13 PC 0.30
14 ABS 0.35
15 PS 0.40
16 PMMA 0.45
17 PVC 0.50
18 PE 0.55
19 PP 0.60
20 PTFE 0.70
21 PFA 0.75
22 ETFE 0.80
23 FEP 0.85
24 PCTFE 0.90
25 PVDF 1.00
26 PBI 1.10
27 PPA 1.20

 

耐熱性(高い順)

PBI(ポリベンズイミダゾール)は、極めて高い耐熱性を持ち、特に高温環境での使用が要求される部品に適しています。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: UL 746B(RTI:耐熱温度指数)
  • 試験方法: 長期間高温に晒されたときの材料特性変化を評価。
順位 樹脂名 耐熱性 (℃)
1 PBI 425
2 PI 350
3 PEEK 300
4 PAI 280
5 PPS 260
6 PTFE 260
7 PFA 250
8 ETFE 240
9 LCP 230
10 FEP 230
11 PCTFE 225
12 PES 220
13 PVDF 220
14 PSU 210
15 PPA 200
16 PC 150
17 POM 140
18 PA 130
19 PBT 120
20 PET 115
21 mPPE 110
22 ABS 100
23 PS 90
24 PMMA 85
25 PVC 80
26 PP 70
27 PE 60

耐クリープ性(高い順)

PEEKは特に優れた耐クリープ性を持ち、高負荷の機械部品に適しています。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D2990(クリープ試験)
  • 試験方法: 長期間荷重を加え続けた際の変形量を測定。
順位 樹脂名 耐クリープ性 (クリープ率 %)
1 PEEK 0.02
2 PAI 0.03
3 PI 0.03
4 PPS 0.04
5 PSU 0.05
6 PES 0.05
7 LCP 0.06
8 POM 0.07
9 PA 0.08
10 PBT 0.09
11 PET 0.10
12 mPPE 0.12
13 PC 0.14
14 ABS 0.15
15 PS 0.16
16 PMMA 0.17
17 PVC 0.18
18 PE 0.20
19 PP 0.22
20 PTFE 0.25
21 PFA 0.25
22 ETFE 0.27
23 FEP 0.28
24 PCTFE 0.30
25 PVDF 0.32
26 PBI 0.35
27 PPA 0.38

 

難燃性(高い順)

難燃性が高い材料は、火災のリスクがある環境で重要です。UL 94 V-0クラスの材料は、自己消火性(火源から取り外した後、燃焼がすぐに停止する特性)を持ち、特に電子機器や電気部品に適しています。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: UL 94(燃焼性試験)
  • 試験方法: 水平および垂直燃焼試験を実施し、燃焼性を評価。
順位 樹脂名 難燃性 (クラス)
1 PBI V-0
2 PI V-0
3 PEEK V-0
4 PAI V-0
5 PPS V-0
6 LCP V-0
7 PES V-0
8 PSU V-0
9 PC V-0
10 PBT V-0
11 PET V-0
12 mPPE V-0
13 PVC V-0
14 ABS V-0
21 PTFE V-0
22 PFA V-0
23 ETFE V-0
24 FEP V-0
25 PCTFE V-0
26 PVDF V-0
27 PPA V-0
17 PA V-2、V-0
15 PS HB
16 PMMA HB
18 POM HB
19 PE HB
20 PP HB

 

耐薬品性(高い順)

耐薬品性が高い材料は、化学工業や腐食性物質に曝露される環境で使用されます。PTFEなどのフッ素樹脂は、特に優れた耐薬品性を持ち、化学薬品を扱う設備に適しています。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D543(化学薬品抵抗試験)
  • 試験方法: 樹脂を化学薬品に曝露し、重量変化や機械的特性の変化を測定。
順位 樹脂名 耐薬品性 (評価)
1 PTFE
2 PFA
3 PCTFE
4 FEP
5 ETFE
6 PBI
7 PI
8 PPS
9 PEEK
10 PAI
11 LCP
12 PES
13 PSU
14 PPA
15 PC
16 PA
17 POM
18 PBT
19 PET
20 mPPE
21 ABS
22 PS
23 PMMA
24 PVC
25 PP
26 PE
27 PVDF

 

寸法安定性(高い順)

寸法安定性が高い材料は、厳密な寸法が要求される部品に適しています。LCP(液晶ポリマー)は、非常に優れた寸法安定性を持ち、高精度な部品に使用されます。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D955(成形収縮率)
  • 試験方法: 成形品の寸法変化を測定し、寸法安定性を評価。
順位 樹脂名 寸法安定性 (評価)
1 LCP 非常に良
2 PPS 非常に良
3 PEEK 非常に良
4 PI 非常に良
5 PBI 非常に良
6 PAI 非常に良
7 PSU
8 PES
9 PC
10 PBT
11 PET
12 POM
13 PA
14 mPPE
15 ABS
16 PS
17 PMMA
18 PVC
19 PP
20 PE
21 PTFE
22 PFA
23 ETFE
24 FEP
25 PCTFE
26 PVDF
27 PPA

 

吸水性(低い順)

吸水性が低い材料は、湿度や水分の影響を受けにくいため、屋外や水中での使用に適しています。また、寸法安定性の良さにも繋がります。PTFEは、吸水性が極めて低く、過酷な環境での使用が可能です。吸水率の高いものは、吸水状態で強度などの特性が大きい場合もありますで注意が必要です。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なりますので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM D570(吸水率測定)
  • 試験方法: 水に浸漬後の重量変化を測定。
順位 樹脂名 吸水率(%)
1 PTFE 0.01
2 PFA 0.01
3 PCTFE 0.01
4 FEP 0.01
5 ETFE 0.01
6 PP 0.01
7 PE 0.01
8 PPS 0.01
9 PI 0.03
10 PVDF 0.03
11 PEEK 0.05
12 LCP 0.07
13 PES 0.08
14 PSU 0.09
15 PBT 0.10
16 PC 0.15
17 POM 0.20
18 PET 0.20
19 PPA 0.20
20 mPPE 0.25
21 ABS 0.30
22 PAI 0.33
23 PBI 0.40
24 PMMA 0.40
25 PVC 0.40
26 PS 0.50
27 PA 1.50

 

耐候性(高い順)

耐候性が高い材料は、屋外での使用や紫外線が多い環境での使用に適しています。PTFEは特に耐候性が高く、長期間の屋外使用でも劣化が少ないです。

下表は概略値であり、メーカーやグレード(品種)等によって異なります。特に耐候性は色や添加剤によっての影響が大きいので、正確な値はメーカーのカタログ等でご確認ください。

  • 試験規格: ASTM G154(紫外線耐性試験)
  • 試験方法: 紫外線や湿度に曝露し、物理特性の変化を測定。
順位 樹脂名 耐候性 (評価)
1 PTFE
2 PFA
3 PCTFE
4 FEP
5 ETFE
6 PBI
7 PI
8 PEEK
9 PAI
10 LCP
11 PES
12 PSU
13 PPA
14 PC
15 PA
16 POM
17 PBT
18 PET
19 mPPE
20 ABS
21 PS
22 PMMA
23 PVC
24 PP
25 PE
26 PVDF
27 PPS

 

まとめ

以上が各評価項目ごとのランキングとなります。それぞれの樹脂の特性を理解し、用途に合わせて最適な材料を選択することが重要です。

 

この記事を書いた人
DD
DD

機械設計の仕事をしているエンジニアのDDと申します。
技術士(機械)の資格をもっています。
このブログでは、機械技術から日常の中の科学まで、私が興味を持ったことをできるだけ解りやすく紹介しています!

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